何年か前にオーダーいただいた靴の補修を依頼されました。
足の変形があり、小指が上を向いているためにその部分の爪が内側から皮革にあたってついに穴が開いてしまったということです。
いったん、そこを外してしまいます。
中底もとってしまうとライニング側にも見事に大きな穴が開いています。
ライニングを交換する必要があるので靴を分解します。
上の皮革の穴は内側からパッチを当ててふさぎました。
そしてライニングを新しい皮革に交換、ついでにクッション材を入れたりして
調整もしました。
組み立ててもともと縫ってあった通りにミシンで縫い直します。
この時、慎重にミシン穴も同じ場所に落ちるように縫ってゆきます、そうすることで強度も保てます。
木型(ラスト)も調整しなおしてあったっている場所を高く大きくして、爪が
あたりにくくなるように工夫し、芯も入れなおして釣り込みなおし。
底も新しく付け直し、穴や大きな傷をパテ埋めし補色。
見間違うように綺麗に仕上がりました。
もう一足、黒の靴も同じ場所に穴が開いていたのを、新しい皮革でカバーして
ストレートチップ風に手直しし、同様に補修、完成。
ただし、通常はここまでの修理をすることは稀です。
一足新しく作ってしまうほどの時間がかかるため、対費用効果を考えると、ここまでの修理をするのはおすすめはしていません。
カーフという最上質な皮革を使っているからこそここまでの修理ができたと思います。