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ハンドソーンウエルト製法とグッドイヤーウエルト製法の違い

高級紳士靴の製法として名高いグッドイヤーウエルト製法は、電気や大型の機械が無い時代、数百年も前から延々と引き継がれて作られてきた、二重縫いの手縫い靴、つまりハンドソーン(手縫い)ウエルト製法の構造を、機械で製作できるように改良された製法です。
当時はこの複雑な製法は機械化できないとされていましたが、その方法を開発した人物がグッドイヤーという人で、その名前が冠され、グッドイヤーウエルト製法と呼ばれています。
では、この二つはまったく同じなのか?というと、そうでもありません。
ハンドソーンウエルト製法は、手の込んでいるだけで価格が高い、だったらグッドイヤー製法で良いのでは?
と思われる方もおられますが、実はかなりの違いが有り、ハンドソーンの優位性も多くあります。
その構造の違いを紹介したいと思います。


ヨーロッパの有名メーカー、グッドイヤーウエルト製法の靴を分解してみました。    
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中底は約3mm厚、その中底に「リブ」と呼ばれる布製の山を接着してあり、その「リブ」に対して、アッパーとウエルトを機械で縫い付けるという方法で製作してあります。
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接着材で「リブ」という布を接着してあるので、古くなるとやはりはがれてきます。
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中底と底の間にはコルクがつめてあります。
機械で縫いやすくするため?リブの高さがあるので、その高さを埋めるために、中底よりも分厚いことがわかります。
当然、底の厚みはかなりの分厚さになります。
ウエストの部分も厚くどっしりと頑丈な感じでスマートさはあまりありません。
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対してハンドソーンウエルト製法では、約5mmほどもある厚手の中底に溝を掘り、縫うための山を作り、その山に対して、アッパーとウエルトを一針ずつ、手作業で縫いつけてゆきます。
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中底そのものに縫い付けているので、はがれるということはありません。
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リブのような異質なものが無いために、コルクも必要最低限です。
グッドイヤー製法に比べて、骨格ともいえる中底が分厚く丈夫、つまり耐久性に優れています。
それでいてリブのような異質なものが無いために、曲がりやすく、足になじむのも早いはずです。
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手作りである特徴として、ウエストラインが踵に近づくにつれて、細くなるというように、スマートで繊細な作りにすることも出来ます。

 

と、いう感じでハンドソーンウエルト製法はただ手がかかっているというだけではなく、グッドイヤー製法に比べて、多くの優位性があるわけです。

グッドイヤー製法は機械製法であるための制約も多く、一足一足のオーダーメイドには向きません。
細かな対応が出来るということも、ハンドソーンウエルト製法の特徴です。
ハンドソーンウエルト製法の詳しい構造は、「ハンドソーンウエルテッド製法の構造と特徴の紹介」をご覧ください。


■古いグッドイヤーウエルト製法の靴の中底を内側から撮影したものです。■
足の形がくっきりついています。
このように、中底が自分の足の形にクゼ付けされて、足になじんでゆきます。
グッドイヤーウエルト製法も、ハンドソーンウエルト製法も、長く大事に履いてこそ、値打ちのある靴です。
修理をしながら、手入れをして履けば、一生モノと言っても過言ではありません。
エコですね。

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